3月 01 2024 / Round the Table Magazine
パーソナル・ブランドをもつ
対象のトピックス
優良ブランドは広告や会社のロゴ、商品やサービスより競合他社と一線を画す素晴らしい属性によって形作られるものです。心理学による影響力の第一人者でBrand Buildersグループの共同設立者であるRory Vadenは、さらに具体的に優れた個人ブランドは自分中心ではなくサービス中心であると述べます。
「パーソナル・ブランドと言っても自分が中心になるわけではありません。重要なのはどのように人に仕えるかということです。私のメンターは個人ブランディングについてこれまでで最高のアドバイスをくれました。他者への奉仕において自分の個性を有効活用することを目標にするように、ということです」
知識を提供する
アドバイザーがパーソナル・ブランドを構築する方法の1つは、自分が知っていることを全て無料で教えることです。教えることは信頼を築きアドバイザーが評判を確立して(評判は収益に先行するので重要)、競争相手の中で際立たせてくれるとVadenは言います。
中国広州の12年間MDRT会員のXu Min Zhangはもともと写真嫌いでしたがカメラの前に立つことへの抵抗感を徐々に克服し、ライブ・ストリーミングで専門知識をシェアするようになりました。
「勇退後の生活などひと月に1つの話題を4つのパートに分けて毎週決まった時間に1つずつ配信しました。勇退後の生活の現状、良い引退プランの立て方、引退後のサービスには何が含まれるかなどさまざまな解説をしました。ひととおり終えたらお客さまを招待して見てもらったり、2~3分に編集して教材として使ったりしています」
ライブ・ストリーミングに挑戦してオンラインで繋がることにより、Zhangは最新の技術に通じたアドバイザーとしてのブランドを確立できました。
「手ごたえを感じています。『最近ライブ・ストリーミングをやっているね。素晴らしい』と何人かのお客さまに声を掛けられました。何を発信するかではなく、何かを発信しているから時代に合っていると評価されています」と語りました。
パーソナル・ブランドの特質
個人ブランドのもう1つの側面は会ったときに連想する事柄、あるいは皆さんを描写する言葉です。パーソナル・ブランディングの専門家で2023年MDRT EDGEの講師を務めたKaplan Mobrayは所属する会社や販売している商品ではなく自分の特質、成果、人となりへの長期的な取り組みこそが印象を確立すると言います。
「そのクライアントに印象を与える機会は二度と来ないかもしれないので、価値を伴う力強い印象を残すためのブランド作りに意図的に取り組む必要があります。自分を差別化する特質を常に意識しなければなりません。一貫性は完璧さよりパワフルです。一貫して情報を提供し、家族を助け、ビジネスの役に立っているならお客さまを引き寄せることができるでしょう。一貫性があれば自分について何かしら知ってもらうことができ、強力なブランドを構築する戦いの半分は終わったことになります」とMobrayは述べました。
そのクライアントに印象を与える機会は二度と来ないかもしれないので、価値を伴う力強い印象を残すためのブランド作りに意図的に取り組む必要があります。
— Kaplan Mobray
誰にでも得意分野や熱中している事柄があるものです。シンガポールで3年間MDRT会員のJune Rong Rong Kohはアーティストというわけではありませんが、スクラップブック作りやデザインに関連するあらゆるものに心惹かれてきました。友だちの誕生日パーティーや結婚式で招待状やウエルカムボードを作るのが好きで、その才能は彼女のビジネスにも生かされています。新しいお客さまと初めて面談するときはその方に合わせて作ったデジタル招待状を送り、優雅な第一印象を与えます。また同じような色使いとイラストをあしらったハガキにインスピレーションあふれるメッセージを手書きして、お礼状として2度目の面談の前に郵送することにしています。
「お客さまから『郵便受けにハガキが届きました!』とメールが来ます。今どきハガキを受け取ることは非常に珍しいので、自分のことを深く印象付けることができると思います」とKohは述べます。
保障内容見直しの面談のときはお客さまのポートフォリオのフォルダー・カバーを制作し、「光になる」「魔法でできている」「太陽がやって来た」といったブランドのテーマが描かれたハガキやポスターと共にギフトバッグに入れて贈り、顧客体験を生み出します。
「クライアントはお土産つきのパーティーに行くような特別感を味わいます」とKohは述べました。
このデザインは旧正月や母の日のお菓子に添える手紙やラベルにも登場します。クリスマス募金の際には、お客さまやスタッフに声を掛けて個人ブランドの野球帽やTシャツやタンブラーのデザインを協力して行いました。こういうときお客さまは彼女の芸術的な創造性に共感しています。
また、お客さまはKohの提供する経験や彼女の価値観によって作られたブランドの別の側面にも共感しています。彼女は幼いころに両親が離婚し、親戚の家を転々としながら成長しました。そうした経験からニーズが見落とされがちな人々に心を寄せ、彼らが表現できる場を提供したいと考えてきました。インスタグラムでパン屋さんなど小規模な経営者を特集し、成果や苦労について語る機会を設けています。
「重要なのは知ってもらいたい自分を一貫した方法で示し続けることであり、それがお客さまの心に強い印象を残します。お客さまも自分自身のアイデンティティーを持っているので、皆さんのブランドや支持するものと自分のアイデンティティーが一致するとき、皆さんとそのブランドを家族のように感じるまでに関係が深まります」と語りました。
自分のブランドを監査する
アドバイザーが取り組めるパーソナル・ブランドの他の属性にはストーリー・テリング、問題解決、傾聴、リーダーシップその他数えきれないほどあります。それが何であれ、ブランド・アイデンティティーの決定を人に委ねてはなりません。Mobrayによる個人ブランド構築の戦略にはデューデリジェンス(事前調査)があります。見込客は面談する前に私たちのことを調べているので、時々自分をグーグルで検索してみましょう。人は自分について何と言っていますか? 自分の見方と人からの見方の間にギャップはありますか? さらに自分自身についてグーグルレビューを下書きし、お客さまにどのように書いてもらいたいのかを自覚してください。
もうひとつの提案はクロージングをするたびに、なぜ自分から加入したのかお客さまに質問することです。
「質問をしなければ自分のブランドに関する重要な情報がいつまでたっても把握できません。ご成約いただくたびに、お客さまが電話を切る前に、面談を終わる前に、建物を出る前に『なぜ私から加入してくださったのですか?』と尋ねてください。他の誰かではなく、自分から加入してくださった理由が何かしらあるはずです。会社が素晴らしいからではありません。例えば祖母が亡くなりそうだと話したとき、ただ『所得補償保険があります』『弊社には長期介護保険も死亡保障もあります』と返すのではなく、きちんと話を聞いてあげたのかもしれません」とMobrayは言います。
新しいレストランに行く前にネットで口コミを調べるように、見込客は面談前に私たちを褒めている人はいるか確かめたいと思っています。共通の知り合いを探す傾向があるのでLinkedInのプロフィールや他のプラットフォームで好感度を高め、自分を称賛する人がいることを示しましょう。
「SNSを見れば共通の知り合いがいるか確認できます。共通点があればコミュニティが生まれやすくなり、リスクを軽減し信頼を高められます。リーズや飛び込み電話に時間をかけるだけでなく、既存クライアントのコミュニティと繋がることにも励んでください。そうすれば皆さんのビジネスとブランドの価値を向上させることができるでしょう」とMobrayは語りました。
Contact
June Rong Rong Koh junekohrr@pruadviser.com.sg
Kaplan Mobray kaplan@kaplanmobray.com
Rory Vaden info@brandbuildersgroup.com
Xu Min Zhang 544536168@qq.com