7月 01 2023 / Round the Table Magazine
危機のさなかに自己改革をしたBrother Chao
対象のトピックス
Chao Lin Yuは中国の上海で2020年には既にファイナンシャル・アドバイザーとして輝かしい業績を樹立していました。13年間MDRT会員としてコンスタントに入会資格を達成し続け、しっかりした固定客を確保していたChao Linですが、パンデミックが急速な勢いで世界を席巻した頃、世界中の誰もがそうであったように彼も速やかな方向転換が必要となりました。
世の中が激変したと思っていましたが、Chao Linはお客さまとのつながりには大きな違いがないことを感じ始めました。そこで自分という存在を世の中に向けて発信する方法を変えていきました。
お客さまと対面でお会いできなくなった当初はショートビデオとライブ・ストリーミングを試みました。そしてオンライン会議が世界中で当たり前になっていく頃にもう一工夫して、自分をBrother Chaoとしてアピールするようになりました。このブランド・ネームでショートビデオをたくさん製作し、ウェルス・マネジメントを中心にさまざまなトピックスについて語りました。
「Brother Chaoとウェルスについて語ろう」というビデオ・チャンネルは大成功で、街を歩いていると一般の方も彼だと気が付くようになっていきました。現在も道を歩いていると、知らない人が「Brother Chaoですね、こんにちは」と声を掛けてくるそうです。「ビデオを見てくださり、自分の意見に共感したと言っていただくと私はとても幸せな気持ちになります」と語ります。
ストリーミング
Chaoが利用しているのはビデオだけではありません。ライブストリームと呼ばれるイベントも行っています。ビデオと似ていますがリアルタイムで行い、参加者と交流し、話を聞くこともできます。視聴者は質問したいことがあれば、配信中に直接質問できます。
多くの中国のアドバイザーと同様にお客さまとの連絡はSNSのWeChatでしています。現在WeChatチャネルのフォロワーは1,000人ほどですが、それ以外にもDouyin、RedそしてBilibiliなどの中国のチャネルにビデオを投稿しています。WeChatの持つ機能によりフォロワーのデータを取得することができます。フォロワーの26%は30~39歳、27%は40~49歳、そして28%が50歳以上です。
対面でお会いすることができなかった時期は、ビデオおよびオンラインでのコンタクトがビジネスを継続する唯一の方法でした。ショートビデオを作成していなかったらどうやってお客さまにコンタクトして仕事を続けられたでしょう。できることが他にありませんでした。
クロージングは対面での最終ステップだったので、お会いできないと収入も途絶えることになりました。「環境が激変したのでファイナンシャル・アドバイザーは何とか仕事を続けて収入を確保するために、オンラインでの営業やビデオといった新しい手法を編み出しました」
舞台裏
とは言え、新規のお客さまを引き付けるほどパワフルなビデオを製作するにはどうすればよいでしょうか。オンラインで存在感を示すには一貫性や不変性が鍵を握るとChao Linは言います。そのため、撮影をする際は意識的に同じ髪型と同じような服装を心掛けています。
セリフも熟慮して言葉を選び、長さは3分程度にしてトピックスに注力しています。例えば、子育て、ウェルス・マネジメント、レストラン、節税対策、個人年金など中国の方々が興味を持っている分野を選んでいます。例えばウェルスについて語るときは、保険とライフスタイルの両方の視点から話すようにしています。そして世界一流の保険の専門家や、投資界の大物ウォーレン・バフェット、そして億万長者でヘッジファンド・マネージャーのレイ・ダリオといったビジネス・リーダーの言葉を紹介するようにしています。
これまでに221本のショートビデオをWeChatのチャネルに投稿してきました。ビデオの各エピソードで少なくとも3つの視点から問題を指摘するようにしています。投稿したビデオの視聴数は通常数百回再生ですが、一番人気があったビデオは1,000回を超えました。
専門家としての視点を紹介することにより、トピックスに興味のある方を引き付けることに加えてChao Linのイメージ戦略にも貢献していて、高い倫理観をもった専門家としてアピールできます。専門家というスタンスでブランディングしたコンテンツ開発は大きな力があります。おかげで非常に多くの見込客を得ることができています。Chao Linによると、ビデオを見て連絡をくださった方の中には総額1000万人民元(約2億円)の保険に加入なさった方もいらっしゃいますが、まだお会いしたことがありません。
コロナ禍でビジネスを軌道修正したアドバイザーはたくさんいましたが、Chao Linの場合は大胆な方向転換をしたことにより大幅なビジネス改善を実現することができました。現在もオンライン会議でお客さまと面談をすることが主流であり、ショートビデオが新規顧客を獲得する手法になっています。「今ではブロガーとしてのChao Lin Yuの名前が売れているので、期待をもって見ていただいています。ウェルス・マネジメントの相談事があれば、お客さまが私を検索して連絡をくださるようになりました」と述べました。
Hannah ZhaoはMDRTのアジア環太平洋市場向けのコンテンツ開発を担当するTeam Lewisのライターです。Contact: mdrteditorial@teamlewis.com
CONTACT
Chao Lin Yu yu-chaolin@163.com